自動車重量税の基本・計算方法・還付金制度などを詳しく解説
自動車重量税は、自動車を所有する際に必ず知っておくべき重要な税金です。本記事では、2024年8月時点の自動車重量税の基本から計算方法、還付金制度までを詳しく解説します。
目次
自動車重量税とは?
自動車重量税は、自動車を所有する際に発生する税金の一つです。車両重量に応じて課されるため、車の重さが増えるほど税額も増加します。
自動車重量税の概要
自動車重量税は、日本国内で車を所有し、公道を走る車に対して課される税金の一つです。自動車重量税の納税義務は、公道を走る車の所有者にあります。ただし、公道を走行する予定がなく、一時抹消済みのコレクション目的で所有している車の場合は、納税義務はありません。
自動車重量税の金額は、以下の要素によって決まります。
要素 | 金額を左右するポイント |
車の種類 | 普通自動車や軽自動車など、車種によって税額が異なる |
車の重さ | 車の重さに応じて税額が設定されているため、重い車ほど税額が高くなる(軽自動車は一律) |
経過年数 | 車の登録からの経過年数により税額が異なり、一般的には古い車ほど税額が高くなる |
エコカー減税の有無 | エコカー減税が適用される場合、税額が軽減されることがある(ハイブリッド車や電気自動車などが対象) |
また、自動車重量税は、新車を購入した際の新規登録時、そして車検を受ける際に支払う必要があります。車検時には次の車検までの期間分の重量税をまとめて支払うという点も押さえておきましょう。
自動車税との違い
自動車税と自動車重量税はどちらも車にかかる税金ですが、異なる基準で課されます。自動車税は主に車の排気量に基づき、毎年5月に納税するものです。対して、自動車重量税は車の重量に基づき、新規登録時および車検時に納税します。
項目 | 自動車重量税 | 自動車税 |
---|---|---|
支払い時期 | 新規登録時、車検時 | 毎年4月1日時点の所有者に課税、納付は5月 |
課税対象者 | 車の所有者 | 車の所有者 |
納付手続き | 自動車販売会社や車検業者が手続き | 自分で手続き |
納付先 | 国 | 都道府県 |
自動車重量税は、車の重量に基づいて課されるため、車の重さが増すほど税額も高くなります。一方、自動車税は車の排気量に基づいて課され、排気量が大きいほど税額が高くなります。このように異なる基準で課税され、納付先も異なるため両者が同時に課税されても二重課税とはなりません。
また、自動車税にはグリーン化特例があります。
自動車税および軽自動車税のグリーン化特例は、環境負荷の少ない車両に対して税制優遇を行う制度です。令和5年4月1日から令和8年3月31日までの間に新車登録を行った場合、特定の基準を満たす車両に対して、翌年度分の自動車税や軽自動車税が軽減されます。電気自動車や燃料電池自動車、天然ガス自動車、プラグインハイブリッド自動車などが主な対象です。
自動車重量税はどう決まるのか
自動車重量税は車種、車両重量、経過年数により異なります。自動車重量税の計算方法について、以下のポイントに基づいて説明します。
自動車重量税の計算方法
計算に関わる項目には、以下のものがあります。
車の種類
軽自動車は重さにかかわらず一律の税額で、年間3,300円です。ただし、新車購入時に3年分を支払うため9,900円(3年分)が課され、以降は2年ごとに6,600円(次の車検までの2年分)を納めます(2024年8月時点)。
これに対して、普通車は自家用乗用車、自家用貨物車、特種用途自動車などの区分に応じて税額が異なります。自家用乗用車と貨物車では、同じ重量でも異なる税率が適用されることがあります。
また、特種用途自動車はその特殊な使用目的に応じた特別な税率が適用されます。例えば、消防車や救急車などの特種用途自動車は、一般の乗用車とは異なる税率が適用されることが一般的です。
さらに、車の利用形態によっても税率が異なるため、用途にも注意しましょう。商業利用の車と個人利用の車では異なる税額が設定されており、商業利用の車は業務のために使用されることが多いため、税率が若干異なる場合があります。また、電気自動車やハイブリッド車などの環境に配慮したエコカーには別途エコカー減税制度が設けられています。
車両重量
普通車の場合、自動車重量税は車両重量と経過年数に基づいて計算されます。
以下は、0.5トンごとの税額です。
- 新車登録~12年:4,100円/0.5トン
- 13~17年:5,700円/0.5トン
- 18年以上:6,300円/0.5トン
1トン未満の車両は以下のように課税されます。
- 新車登録~12年:8,200円
- 13~17年:11,400円
- 18年以上:12,600円
また、車両重量が1トン以上1.5トン未満の場合は以下のように課税されます。
- 新車登録~12年:12,300円
- 13~17年:17,100円
- 18年以上:18,900円
このように、車両の経過年数や重量に応じて税額が増加します。例えば、1.5トン未満の車両が18年以上経過した場合、年間の税額は18,900円です。また、車両重量が非常に重い車両については、追加の税額が課されることもあります。
車両の重量に応じた課税は、道路の損傷や環境への負荷を軽減するために設定されています。重い車両は道路の損傷を引き起こしやすく、また燃費も悪いため、環境への負荷が大きくなります。そのため、重量が重い車両に対しては高い税金を課すことで、軽量で環境に優しい車両の利用を促すのが目的です。
車両重量の計算には、メーカーが公表する車両重量を基に税額が決定されるため、正確な重量を把握しておくことが重要です。また、車検時には車両の実際の重量が確認され、その重量に応じて税額が計算されます。これにより、公平かつ正確な課税が実現されています。
以下に、普通車の自家用乗用車に対する自動車重量税の計算例は以下の通りです。
車両重量 | 新車登録~12年の税額 | 13~17年の税額 | 18年以上の税額 |
---|---|---|---|
0.5トンあたり | 4,100円 | 5,700円 | 6,300円 |
1トン未満 | 8,200円 | 11,400円 | 12,600円 |
1トン以上1.5トン未満 | 12,300円 | 17,100円 | 18,900円 |
※2024年8月時点
次回の車検時に支払う自動車重量税の額は、「次回自動車重量税額照会サービス」で確認できます。自分の車両の正確な税額を事前に把握できるので、活用してみましょう。登録車および小型二輪と軽自動車で照会サイトが分かれているので、気を付けてください。
経過年数
車の経過年数も税額に大きく影響します。新車登録から13年以上経過した車は、通常の税額に対して約15%の増額が適用されます。さらに、新車登録から18年以上経過した車は、通常の税額に対して約20%の増額です。このように、経過年数が長くなるほど、税額が高く設定される仕組みとなっています。
これは、古い車が新しい車よりも環境負荷が大きくなる傾向があるためです。古い車両は燃費が悪く、排出ガスも多いため、環境に対する影響が大きいとされています。したがって、古い車に対して高い税金を課すことで、所有者に新しい車への買い替えを促進し、環境負荷の軽減を図ることが目的と言えるでしょう。
経過年数が長い車は、新しい車よりも安全性が低くなるのが実情です。新しい車は、最新の安全基準を満たしているだけでなく、機器も新しいため故障のリスクも低くなります。そういった観点から、経過年数が重視されているのです。
また、車の経過年数による税額の変動を把握することで、適切なタイミングでの車の買い替えやメンテナンスといった計画を立てられるでしょう。
自動車重量税の優遇措置
自動車重量税には、環境に配慮した車を対象とする税制優遇措置が設けられています。この優遇措置は「エコカー減税」として知られています。
エコカー減税とは
エコカー減税とは、排出ガス性能や燃費性能など環境に優れた車両に対して、自動車重量税が減免される制度です。エコカー減税の適用を受けるためには、車が一定の環境性能基準を満たさなくてはいけません。エコカー減税は、電気自動車、燃料電池自動車、天然ガス自動車、ハイブリッド車などの環境性能に優れた車が対象です。
エコカー減税は、購入時に適用されるだけでなく、車検時にも適用されることがあります。また、新車だけでなく一定の基準を満たす中古車にも適用されるケースもあるため、適用条件を確認しておきましょう。環境に優しい車を選ぶことで、税負担が軽減されるため、経済的にもメリットがあります。
また、エコカー減税の対象となる車は、政府や自治体からの補助金を受けられる場合もあり、初期費用を抑えつつ環境に優しい車を購入できます。さらに、エコカー減税の制度は、環境保護の観点から、国際的な取り組みとも連動していることが多く、グローバルな視点での環境負荷低減にもつながっています。
エコカー減税の減免率
車の燃費性能や排出ガス性能の基準を満たす車は、それぞれの段階に応じてエコカー減税による減免を受けられます。減税率は、普通自動車では100%、50%、25%の3段階、軽自動車では100%、75%、50%、25%の4段階に分かれています。
例えば、排出ガス性能が非常に高い電気自動車は100%の減免が適用されることがあります。一方で、少し基準を満たす程度の車両には25%の減免です。このように、環境性能の高さに応じて、適用される減免率が異なる仕組みです。減免されることで、長期的に見た金銭的なコストも削減できます。
減免率の適用は、車両購入時に一度だけでなく、継続して車検時にも適用されることが多いため、環境性能に優れた車両を選ぶことは、所有期間を通じての経済的なメリットも期待できます。また、エコカー減税は政府の環境政策の一環として実施されています。そのため、制度変更や延長が行われる場合があるので、最新の情報を確認するようにしましょう。
エコカー減税の対象期間
エコカー減税には対象期間があります。2024年7月現在、エコカー減税は、2023年5月1日から2026年4月30日まで延長※1されています。この期間内にエコカー減税の対象となる車両の新車新規登録や継続検査、中古車の新規登録を行うことで減免を受けられます。
また、乗用車の場合、排出ガス基準や燃費基準が2024年1月1日と2025年5月1日にそれぞれ引き上げられます。※2対象期間は年ごとに更新されることが多いため、最新の情報は公式の政府発表やメーカーのサイトで確認しておきましょう。
エコカー減税の対象期間に車両を購入することは、経済的なメリットを享受するだけでなく、環境保護の一環としての取り組みにも貢献できます。最新の減税情報を常にチェックし、最適なタイミングで車を購入・買い替えることでメリットが得られます。
※1:「エコカー減税 (自動車重量税) の概要」(国土交通省)を元に作成
※2:「環境対応車に対する軽減」(国土交通省)を元に作成
エコカー減税対象車の種類
エコカー減税の対象車は、電気自動車、燃料電池自動車、天然ガス自動車、ハイブリッド車、プラグインハイブリッド車など、環境性能に優れた車両です。これらの車両は、排出ガスの低減や燃費の向上により、環境負荷を減らせるのが特徴です。
例えば、電気自動車は走行時にCO2を排出せず、燃料電池自動車は水素を使用するため排出ガスは水蒸気だけです。天然ガス自動車は、ガソリン車に比べてCO2や有害物質の排出が少なく、環境に優しいと言われています。ハイブリッド車やプラグインハイブリッド車は、ガソリンエンジンと電気モーターを併用しており、燃費の良さが特徴です。
また、これらの車両は、「クリーンエネルギー自動車導入促進補助金」を受けられる場合もあります。車種や機能によって受けられる金額が異なるため、補助金の内容を確認したうえで車を購入すると、費用を抑えられます。
事故や故障で使えない車はどうする?
事故や故障で使えなくなった車の重量税はどうなるのでしょうか。ここでは、自動車重量税の還付金制度について解説します。
自動車重量税の還付金制度
自動車重量税の還付金制度は、事故や故障で使用できなくなった車両を廃車手続きするための制度です。還付金制度を通じて、納めた自動車重量税の一部を取り戻せます。
以下に、還付金制度の詳細を解説します。
廃車手続きの必要性
還付金制度を利用するためには、車を正式に廃車する手続きが必要です。この手続きには、一時抹消登録または永久抹消登録が含まれます。
- 一時抹消登録
一時抹消登録は、車の使用を一時的に中止する際に行う手続きです。将来的に再度車を使用する可能性がある場合に選択します。例えば、長期間使用しない車や修理中の車に対して一時抹消登録が適用されることがあります。この登録を行うと、車は一時的に公道を走行することができなくなりますが、所有者の名義は保持できるのが特徴です。
- 永久抹消登録
永久抹消登録は、車を完全に廃車にする手続きです。車が事故や故障で再使用不可能な場合に行います。永久抹消登録を行うと、車は公道を走行することが永久に禁止され、所有者の名義も抹消されます。この手続きは、車の解体やスクラップ処理が完了した後に行われます。
還付金の条件
還付金制度を利用するためには、いくつかの条件を満たす必要があります。主な条件は以下の通りです。
- 車検残存期間
車の廃車時に車検の残存期間が1ヶ月以上なくてはいけません。車検残存期間が1ヶ月未満の場合、還付金を受け取ることはできません。車検残存期間が長いほど、還付される金額も多くなります。
- 手続きの完了
一時抹消登録または永久抹消登録の手続きが正式に完了していなくてはいけません。この手続きが完了していない場合、還付金の申請はできません。
還付金の計算方法
車を廃車にする際には、納付済みの自動車重量税の還付金を受け取ることができます。これは、車検の残存期間に応じて計算され、還付されるものです
車検の有効期間とは、新車登録時には3年間、それ以降の継続車検時には2年間です。例えば、新車を購入した場合、最初の車検は3年間有効です。その後、2年ごとに車検を受ける必要があります。
- 新車登録時:3年間
- 継続車検時:2年間
この期間のうち、車検が来る前に廃車にした場合に、還付金の対象となります。
そして、車検費用の内訳は以下の通りです。
- 自賠責保険料:約20,010円(24ヶ月)
- 自動車重量税:車両重量や年式により異なる(例:1トン未満の普通車の場合は8,200円~24,600円)
- 印紙代:1,800円~2,200円
- 車検基本料と整備費用:10,000円~50,000円程度
これらの費用を合計すると、車検費用はおおよそ50,000円~100,000円となります。
注意したいのは、車検代のうち、還付金の対象となるのは自動車重量税のみという点です。自賠責保険料や印紙代、車検基本料と整備費用は還付の対象外。自動車重量税は車両の重量に基づいて計算され、車検時にまとめて納付されます。これが、車を解体して永久抹消登録を行う場合に、残存期間に応じて還付されます。
還付金額は以下の計算式で求められます。
還付金額 = 納付された自動車重量税額 × 車検残存期間 ÷ 車検有効期間
例えば、納付された自動車重量税額が24,000円で、車検残存期間が12ヶ月、6ヶ月の場合は、以下の金額です。
・24,000円 × 12ヶ月 ÷ 36ヶ月 = 8,000円
・24,000円 × 6ヶ月 ÷ 36ヶ月 = 4,000円
還付を受けるためには、車を解体し永久抹消登録を行う必要があります。一時抹消登録では還付されません。
また、車検の残存期間が1ヶ月未満の場合は還付の対象外となるため注意しましょう。
還付金制度の目的
還付金制度は、所有者が不要になった車両を適切に処分し、リサイクルを促すことが目的です。廃車手続きを行うことで、不要な車が放置されることなく適切にリサイクルされ、資源を再使用できます。また、還付金があるため車の所有者にも金銭的なメリットがあります。このように、自動車重量税の還付金制度は、環境保護と資源の有効活用を実現するための重要な仕組みです。
自動車重量税の概要について説明しました。この税金は車の重量に基づいて課され、新規登録時および車検時に支払います。また、廃車手続き時に還付金が受けられる制度であり、事故や故障で使用できなくなった車を廃車する際に使えます。
廃車手続きや還付金申請の手続きは正確に行わなくてはいけません。不備があると還付金を受け取れない場合がありますので、注意が必要です。手続きをする際には、信頼できる専門業者に依頼する方法もあります。
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