車検切れの車が抱えるリスクとは?処分方法や注意点を解説
車検切れの車で公道を走行するのは法律違反となり、罰則や罰金が科されます。また、事故を起こした際に保険が適用されず、経済的損失を被る可能性もあるので注意が必要です。本記事では、車検切れとは何かをはじめ、公道を走行できない理由やリスク、車検に再度通す方法や処分方法について解説します。
車検切れとは何か?
車検切れとは、自動車・自動二輪車に対して定期的な更新が法律で義務付けられている自動車検査証の有効期限が切れている状態のことです。
そもそも車検とは何かをおさらいしておくと、所有している自動車が国の定めた保安基準を満たしているかを確認する自動車検査登録制度を指します。初回の登録の有効期限が3年で、それ以降は2年ごとの更新が必要です。車検の有効期限がいつなのかについては、車検証(自動車検査証)もしくはフロントガラスに貼られたステッカー(車検標章)で確認できます。
車検証は、公道を走行してもよいとする許可証のようなものです。その車検証の有効期限が切れている車検切れの車で公道を走行した場合、道路運送車両法に違反したとして罰則・罰金が科されます。
公道で走行できない理由
車検切れの車で公道を走行できない理由は、道路運送車両法で禁止されているためです。ちなみに道路運送車両法は1951(昭和26)年に自動車事故の防止と道路の安全確保を目的に定められた法律で、車両の所有者に対して車両の安全性の確保に関する責任を持つことが明確に規定されています。
また、車検は自動車が国の定めた保安基準を満たしているかを確認する検査のため、車検切れの状態だと車両の安全性の確保が不十分で、予期せぬ故障や重大な事故を起こすリスクが高まります。ブレーキがきちんと作動しなかったり、ヘッドライトが点灯しなかったり、エンジンが突然止まったりなどの事態につながりかねないため、道路運送車両法で車検切れの車での公道の走行を禁止しているのです。
車検切れの状態で運転をするリスク
車検切れの状態での運転は法律違反となって処罰の対象になるだけでなく、事故を起こした場合の経済的リスクや車両の安全性が担保されていないといったリスクもあります。
法律上の罰則
車検切れの状態で公道を運転した場合、道路運送車両法に違反したとして以下の処罰が科されます。
【無車検で運転した場合の処罰】
刑事処分:6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金
行政処分:免許停止
違反点数:6点
また、加入が義務付けられている自賠責保険の補償期間が切れている無保険で公道を運転すると自動車損害賠償保障法に違反し、以下の処罰の対象となります。
【無保険で運転した場合の処罰】
刑事処分:1年以下の懲役または50万円以下の罰金
行政処分:免許停止
違反点数:6点
自賠責保険の補償期間は車検の1ヶ月後に満了になるように設定されていることから、車検切れの状態だと自賠責保険の補償期間も切れている場合がほとんどです。無車検と無保険の両方に違反した場合、より厳しい処罰が科されます。
【無車検と無保険で運転した場合の処罰】
刑事処分:1年6ヶ月以下の懲役または80万円以下の罰金
行政処分:免許停止
違反点数:6点
車検切れの車については国土交通省も対策を強化しており、ナンバー自動読取装置(Nシステム)の導入や通報窓口の設置が行われています。車検の更新をうっかり忘れていて法律違反にならないよう、車検の有効期間には注意が必要です。
参考:「交通違反の点数一覧表」 (警視庁)より加工して作成
保険への影響と経済的リスク
車検切れだと自賠責保険の補償期間も切れていることがあるため、車検切れで事故を起こした場合、自賠責保険で補償されるはずだった相手への賠償費用は全額自己負担となります。
任意保険に加入している場合は、有効期間内であれば車検切れでも被害者への補償については保険が適用されることがほとんどです。ただし、任意保険が使えるのは自賠責保険で補償できる範囲を超えた場合なので、自賠責保険の傷害補償限度額120万円までは自分で支払わないといけません。
また、事故で自身も治療が必要になった場合、任意保険によっては車検切れの車による事故は補償の対象外になることがあります。被害者への賠償に加えて自身や車の治療費・修理費についても負担することになるため、かなりの経済的損失を被る可能性があるため注意しましょう。
その他リスク
公道を安全に走行可能な性能があるかを確認する車検を受けていないということは、車の安全性が担保されていないという状態です。そのため、車検切れの車での運行は突然の不具合や事故のリスクが高まる危険性があります。
車検が切れた車を再度車検に通すには
車検切れの車を再度車検に通すには、「仮ナンバーを取得する」「キャリアカーを利用する」「業者に引き取りを依頼する」といった方法があります。
仮ナンバーの取得方法
仮ナンバーは車検切れの車を車検場などに回送する場合に限り、特例として道路での運転を認める許可証です。車検切れの車は公道を走れないため、車検場に持ち込むには運行経路に含まれる市区町村に申請して仮ナンバーを発行してもらう必要があります。
仮ナンバーを取得するまでの主な流れは以下の通りです。
- 自賠責保険の有効期限が切れている場合は、加入していた保険会社の窓口で再加入の手続きを行う
- 仮ナンバーの申請に必要な書類を揃えて、市役所や区役所など各行政庁の窓口で申請手続きを行う
- 自動車臨時運行許可申請書に必要事項を記入する
- 必要書類と自動車臨時運行許可申請書を提出し、発行された仮ナンバーを受け取る
必要な書類
仮ナンバーの申請に必要な書類は以下の通りです。
- 本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカードなど)
- 車台番号を確認できるもの(自動車検査証、限定自動車検査証、抹消登録証明書、通関証明書など)
- 有効期限内の自動車損害賠償責任保険証明書の原本
- 自動車臨時運行許可申請書
仮ナンバーは審査後すぐに交付されるため、車を運びたい当日または前日の申請で問題ありません。ただし、必要最小限の日数しか運行が許可されないため(最長5日間)、期間内に車検を受ける必要があります。手数料は地域によって異なりますが、750円程度です。許可された経路や目的以外の運行はできず、使用後は5日以内に臨時運行許可証とナンバープレートを返納する必要があります。
参考:さいたま市/臨時運行許可
キャリアカーを利用する
キャリアカー(積載車)に車検切れの車を積んで、車検場まで運ぶという方法もあります。ちなみにレッカー車やロープで車検切れの車をけん引するのは公道に後輪が接することから無車検車運行とみなされ、道路運送車両法に違反するので注意しましょう。キャリアカーであれば車は荷物扱いになるため、車検や自賠責保険切れの車でも問題ありません。
準中型免許を持っていればキャリアカーをレンタルして、車検場に搬送することが可能です。キャリアカーに車を積む際は、車のタイヤが公道に触れないように私有地で積み上げるようにしましょう。
業者に引取りを依頼する方法
仕事が忙しくて仮ナンバーを申請に行く時間がとれない、準中型免許を持っていなくてキャリアカーを使って自力で運べないという場合、業者の引き取り納車サービスを利用するという方法もあります。仮ナンバーの申請のために役所に足を運んだり、車検場に持ち込んだりする手間がかからないため、忙しい方にとって便利なサービスです。
引き取り納車サービスの料金や対応は業者によって異なるため、事前に確認し、自分に合った業者を選ぶようにしましょう。
車検切れの車の処分方法
車検切れの車を処分する一般的な方法は、「廃車処分を行う」もしくは「買取業者に売却する」の2つです。それぞれの方法について解説します。
1. 廃車処分
レッカーや仮ナンバーでの移動
車検切れの車を廃車処分するには廃車業者や解体工場で車を解体し、普通車の場合は管轄の運輸局、軽自動車の場合は軽自動車検査協会にて永久抹消登録の手続きが必要です。廃車業者や解体工場に車を持ち込むにあたって車検切れの車では公道を走行できないため、仮ナンバーを取得するか、業者に運搬を依頼しましょう。
買取りしてくれるか、費用がかかるかは、車の状態により業者ごとに違いがあります。
車の現状をよく説明したうえで、業者に見積もりを出してもらいましょう。
廃車手続きを行う
廃車手続きを自分で行う場合の流れは以下の通りです。
- 解体業者に依頼して車の解体処理を行う
- 解体業者からナンバープレート、解体報告記録日、使用済自動車引取証明書を受け取る
- 必要書類を用意し、普通自動車は管轄の運輸支局、軽自動車は軽自動車検査協会に提出する
- 永久抹消の申告・自動車税の還付手続きを行う
2. 買取業者に売却
買取業者の利用
廃車手続きや仮ナンバーの申請などが面倒な場合は、廃車買取を行っている業者に売却するという方法もあります。廃車買取を専門としている業者であれば車検切れの車でも買取ってもらえる可能性が高く、特に自社工場を併設している買取業者兼解体業者であれば車の引き取りから解体作業、廃車手続きまで一貫して対応してもらえるので、面倒な手続きは必要ありません。業者によっては無料で運搬や手続きの代行を請け負っているところもあるため、お得に車検切れの車を処分できます。
高額買取のコツ
日本では値段がつかない過走行車や年式の古い車でも、海外では日本車の需要が高いため、独自の業者ネットワークを確保している廃車買取専門業者ならパーツや素材の価値を見出して高く買取ってもらえる可能性があります。古い車だから値段がつかないだろうと諦めず、まずは査定に出してみることをおすすめします。
浦和自動車解体では車検切れの買取に力を入れているほか、自社で解体・販売できる体制を整えており、仲介手数料なしで高額買取が可能です。リサイクルパーツに関するお問い合わせも受け付けているため、お見積りをご希望の方は下記リンクからフォームに必要事項をご記入の上、お問い合わせください。
車検切れの車を処分する際の注意点
車検切れの車を処分するにあたって注意すべきポイントは、「車検証の有無」「自動車税の支払い」の2つです。廃車手続きをスムーズに進めるためにも、注意点についてしっかりと把握しておきましょう。
車検証の再発行
廃車手続きを行うには、車検証が必要です。車検証を紛失してしまった場合は、普通自動車であれば運輸支局、軽自動車の場合は軽自動車検査協会で車検証の再発行の手続きを行いましょう。車検証の再発行に必要となる書類は以下の通りです。
【普通自動車の場合】
- 申請書
- 理由書(申請書に理由の記入があれば提出不要)
- 手数料納付書
- 自動車検査証(き損などで提出できるものがある場合)
- 使用者の委任状(車検証に記入されている使用者の記名が申請書にあれば不要)
- 使用者または代理人の本人確認書類(運転免許証、健康保険証、パスポート、外国人登録証明書、顔写真付き身分証など)
【軽自動車の場合】
- 自動車検査証(き損などで提出できるものがある場合)
- 自動車検査証再交付申請書(軽第3号様式)
- 申請依頼書(代理人が手続きする場合)
「自動車検査証再交付」(関東運輸局) を加工して作成
車検切れの車検証を再発行する際、新しい車検証の有効期限は前の車検証の残り期間から計算されます。地域やケースによって必要な書類が異なる場合もあるため、申請する運輸支局または軽自動車検査協会にご確認ください。
自動車税の支払いをする
車検が切れたからといって、自動車税の課税義務が免除されるわけではありません。自治体によっては車検が切れると課税保留となって納税通知書が発送されないこともあるため、廃車手続きを行う前に税務署や運輸支局で自動車税の状況について確認し、未納分があれば支払うようにしましょう。
自動車税の未納が2年以上ある場合、税務署に車を差し押さえられている「嘱託保存」の状態になっており、廃車手続きができません。嘱託保存の状態で廃車手続きを進めるのであれば、未納分の支払いが必要です。
また、廃車手続きを行えるのは車の所有者のみのため、ローンが未完済で所有者がディーラーまたはローン会社の場合はローンを完済し、所有権解除手続きを行う必要があります。
車検切れの車をお持ちの方へ
車検切れは手続きをうっかり忘れてしまっただけの問題とお考えの方もいるかもしれませんが、法律違反に伴う罰則や事故を起こした際の経済的損失といった重大なリスクも抱えています。車検切れの車を処分するにしても手続きが必要になるため、車検切れの車をお持ちで手続きに時間をかけたくないという場合は、車検切れの車の買取を行っている浦和自動車解体の買取査定お申込みフォームからぜひご相談ください。
お急ぎであれば、お電話からでもお問い合わせいただけます。
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